診断SS

 

 降り積もる雪を眺めているひとがいつにも増して白く見える。暖房の効いた室内にいるにも関わらず、その肌は触れれば冷たいことを知ってしまったから余計に。
 常ならばこちらに向いている桔梗はぼう、と何に惹かれているのか窓のそとばかり気にしていて。無防備なその様に少しばかり悪戯心がわいた。

「雪ふりて犬は喜び庭駆け回り、っていいますけど狐はどうですかー」
「そうさな……なきやまぬ、小鳥を咥えて巣に籠りってところか」

 ようやくこちらを向いたかと思えばつい、と首目掛けて伸ばされる腕。

「っ、つめた」
「はは、お前さんはいつも温いな」
「それってさー」

 首筋に触れる手のひらが熱を奪うように、互いの体温の境目を無くすかのように動くからつい口をつぐむ。柔く細められた目とぬるくなる指先だけならば悪い気はしない。けれど、ずいぶんとからかいの強い声音に子供体温だとでも言いたいのかと睨めつければ楽しげな笑い声が返ってくる。
 確かに一回りは違うとはいえどもう子供と言うには過ぎた年。なのに。

「子供じゃないなんて言ってるうちはまだまだ子供だろう」

 深まる笑みといつになくしつこいからかいの言葉に少しばかり腹が立って、細やかな報復として震える脇腹めがけて手を伸ばした。

 そうやって折に触れて子ども扱いするのはあなたがまだ僕に子供でいてほしいからでしょー、とは口にできないまま。

 

- - - - -

ゆらの想雨のお話は 「雪は懇々と降り駸々と積もる」で始まり「腹が立ったから、脇腹をつついてやった」で終わります。 #こんなお話いかがですか shindanmaker.com/804548

随分とかわいい結果になったので…

2018/10/30