辿り着いた答え

初めて出会ったときから妙に馬の合う男だった。
共に過ごす時間が増えるうちにそれはどんどん自分の中で大きな存在感を放つようになってきて。悪ふざけをするなら欠かせないし、酒を共に呑むと普段よりも尚美味く感じる……どころか居ないとなんだか物足りなくすら感じるほど近くにいた。
働きたがらない自分を巧くのせる手腕にはいつもちょろいちょろいと言われていたが、それでもこの男の選択なら間違いはあるまいと――仮に何かあったとしてもそれはその時だと――心を預けられた心地よさ。そんな相手からも同じ、もしかしたらそれ以上の信頼を受けることの気恥ずかしさと、それを越える喜びを知ってしまったから。次第にオシュトルの、ウコンの、信頼に、期待に応えるためならばどんなことだろうと為し遂げてみせたいと思うようになってしまったのだ。
出来ることなら楽をしていたいと心底願う自分の在り方を変えられてしまった責任はいつか取って貰おうとこっそり目論んでいたのだが。

受け取った仮面、目の前のさらさらと風に吹かれて舞い散る白い砂。現実味のないその光景は美しくすらあって。

そうか、自分は託されたのかとどこか冷静な心が呟いた。
もっとも信頼した男の願いを託されたのかと。
ならばそれに応えるのが自分のつとめだろう。
単に其処にいたから、ではなく自分にだからこそ託されたのだと自惚れではなく思う。けれど、だからこそそれに応えるのは義務であり、そのくせどんなものよりも甘く、優しく、それでいて何よりも強い枷だと受け取った重みに震えながら抱き締めた。

何をすれば良いかなんて、決まっている。ウコンが、オシュトルが護ろうとしたものを。目指したその先を作り上げる為には。

そう、まずは手始めに。

「――――――ネコネ」










おまけ ハクにとても酷いハクトル妄想




あの時、自分はここにいると言ってしまえたらと何度思っただろう。
保護者だと言っていた彼女に。
友情、親愛――恋愛、までは。行ってなかったけれど、全てを引っくるめて大切で特別だった少女に打ち明けてしまえたなら。
けれど、そんなことは出来るはずもない。
だって。その彼女以上に己の心を占めていた男を、失ったのは他でもない自分の――
陽が落ちて朱から藍に変わってどれ程の時間が経っただろう。
ふとした瞬間に訪れる静けさに泣きたくなる。けれどそれを泣き惜しむ権利を自分は持つことが出来ないのだと。
あの声が、姿が、心のあり方がどれ程自身の中に深く入り込んでいたか痛感する。
見上げればいつか二人で見上げた姿と変わらない静かに輝く円が浮かんでいて訳もなく泣きたくなった。
狂いそうで狂えなくて、狂うわけにはいかなくて。嗚呼、どうにかなってしまいたい。けれどこれが唯一の生きている実感――唯一、赦された己のための意識。楽になどならない、させない、なりたくなどない。苦しんで苦しんで苦しんで――それが残された己の罰であり権利であると、静かに瞼を閉じた。

幸か不幸か。その口許がいびつに歪むところは、誰一人として見ることはなく。

2015/12/05